2007-10-15

沖縄集団自決

教科書から沖縄集団自決への軍の関与を表す記述が削除されたことに批難が集中している。軍が沖縄住民に自決を命令するなり、降伏することを禁止したりしたか、というの問題になっているのだ。

私はこの問題に明るくはないので、実際に軍が関与したかどうかを断言する立場にはない。ただ、軍人が住民に自決するように指示するようなことはあっただろう。でも、住民が自主的に自決したり、住民が住民に対して自決を促したケースもたくさんあったのではないだろうか。当時は、国民も軍も(軍人も国民だから当たり前だが)そういうムードだったからだ。

全体としてそういうムードだったから、軍から住民への自決勧告も、武力を背景にした強制的なものではなかっただろう。言い換えれば、住民にも軍にも同調圧力が働いていた、ということだ。国全体がその同調圧力に包まれており、国を構成する国民も軍もマスコミも政府も、その同調圧力を相互に助長していったのだ。

問題にすべきなのは、軍の関与ではない。なぜそういう同調圧力が発生したのか、なぜその同調圧力に抗うことができなかったのか、なぜ理性的に考えることができなかったのか、ということだ。少なくとも、今は存在していない軍に責任を負わせて終わらせるのは間違っている。

そして、この同調圧力問題は、今も解決していないことが判る。なぜなら、今回の件自体が、同調圧力を帯びつつあるからだ。

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